研究課題
ガボン南東部における前期原生代堆積層 (~2.2 Ga) の地質調査により、真核生物進化の必要条件の解明に取り組んだ。とくに、同時異相のフランスヴィル、ラストゥールヴィル、オコンジャ地域において化石層序および同位体層序を検討し、層序対比により真核生物化石出現時の環境の違いを特定することを目的とした。現地での許可申請や掘削会社との交渉に難航し、2017年度内に陸上掘削による試料採取が遂行できなかったため、補助事業期間を延長し2018年度に陸上掘削を行った。2018年9月にガボンへ行き、採取したFD層の掘削コア試料 (オコンジャ地域100 m, ラストゥールヴィル地域75 m) の岩相の観察・記載および分析試料の選定を行った。日本へ持ち帰った炭酸塩岩・黒色頁岩について薄片観察を行い, 無機/有機炭素・窒素同位体比を測定した (計122試料)。2016-2017年度の成果と合わせ、本研究により、ラストゥールヴィル地域において初めてFB-FD層の連続的な同位体層序が得られた。無機炭素同位体比は、FB層中部において+5 ‰から-2 ‰へ負シフトを呈した。これは、グローバルな炭素同位体比正異常 (Lomagundi Excursion; ~2.2-2.1 Ga) の終了と一致する可能性があり、炭酸塩に乏しいフランスヴィル地域の先行研究では得られなかった新知見である。窒素同位体比は、ラストゥールヴィル地域においてFB層中部からFD層下部にかけて+5 ‰が保たれたのに対し、フランスヴィル地域においてFB層最上部 (化石層準) で0 ‰を呈した。これは、真核生物化石の形成場が、硝酸同化が卓越する好気的な環境ではなく、窒素固定が卓越する嫌気的な環境であった可能性を示唆する。以上の成果について、学会および国際シンポジウムで発表を行い、論文として公表準備中である (Sato et al., in prep)。
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Terra Nova
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doi: 10.1111/ter.12407