研究成果の概要 |
ガボンにおいて地質調査を行い, 最古の真核生物化石を産する前期原生代堆積盆地の詳細な岩相・化石・化学層序を検討した. その結果, フランスヴィル地域において, 化石の堆積環境は比較的嫌気的だったことを明らかにした. また, ウラン濃集層由来の局所的な高放射線場が進化を促進した可能性を示唆した. ラストゥールヴィル地域では, 初めて連続的な炭素同位体比層序を確立し, 化石出現前後において炭素同位体比の負変動を検出した. これはグローバルなLomagundi Excursionの終焉に対応し, 真核生物の出現が海洋炭素循環を大きく変えた可能性を示唆した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
原核生物 (バクテリア, アーキア) から真核生物への進化は, 地球史における最も大きな進化の一つである. その進化が, いつどのような環境下で起きたのか明らかにするためには, 最古の真核生物化石が産する地層から当時の環境を解読することが不可欠である. 本研究で明らかにした, 局所的な高放射線場や, 地球規模の炭素循環変動と真核生物出現の関係は, 地球科学のみならず生物学において, 生物進化の必要十分条件を解明するための鍵となると期待される.
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