本研究課題では,真獣類が初期の多様化を始めたと考えられる前期白亜紀の後半に,アジアの哺乳類相がどのように変化したのかを詳しく明らかにすることを目的とし,中国遼寧省阜新地域において哺乳類化石の発掘調査をおこない,同地域の沙海層・阜新層産哺乳類化石群に関する分類学的検討を進めた. 発掘調査で新たに見つかった標本と,これまでに収集していた標本をあわせて研究し,真三錐歯類と多丘歯類の新種等に関する記載論文を公表した.また懸案となっていた過去に記載された真獣類の再記載もおこなった.沙海層・阜新層産の化石群の全貌が見えてきたことで,前期白亜紀の後半のアジアにおける哺乳類相変遷が徐々に明らかになりつつある.
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