研究課題/領域番号 |
16K17834
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
石丸 聡子 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 助教 (60464046)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 島弧マントル / 記載岩石学 / 地球化学 / 変形作用 / 交代作用 |
研究実績の概要 |
複数の島弧由来のかんらん岩で観察される物質化学的・地球化学的性質について類似点と相違点について系統的に検討し、それらを特徴付ける要因となった化学的条件や諸現象の理解を目的として研究を進めている。 平成30年度には主に島弧セッティングで形成されたと考えられている複数のオフィオライトおよびかんらん岩体について詳細な岩石学的記載と機器分析をおこなった。トルコ南部のメルシンオフィオライトからは、ボニナイト的なメルトの形成場とその過程について、かんらん岩から制約を与えることができた。 また、北極圏ウラル地域のライイズ岩体は地表にのし上げる以前に一旦深部(約100 km)へともちこまれ、その過程で様々な程度に変成作用を被った可能性を明らかにした。その形成過程に特に強い変成作用の関与を示唆する直方輝石岩中の包有物について顕微レーザーラマン分光分析によって解析をおこなった結果、変成作用に関与した流体は主に水(H2O)であり、少量の二酸化炭素を含んでいたと推定される。 これらの試料に加えて、新たにイタリアのフィネロ岩体において現地調査をおこない試料を採取した。フィネロかんらん岩体は様々な程度に含水鉱物(角閃石・金雲母)を含んでいることで有名であるが、非常に変形度の高い細粒かんらん岩を産することも知られている。含水鉱物の量比および変形度の異なる試料を採取し、研磨薄片を作成、変更顕微鏡下での観察を進めているところである。これから全岩および鉱物の局所分析をおこないその化学的性質について検討をおこなう。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで進めてきた岩石学的記載や機器分析が順調に進み、それぞれの成果がまとまりつつある。また、新しく採取した試料に関しても順調に処理ができている。
|
今後の研究の推進方策 |
これまで処理を進めてきていた試料に加えて、新たに採取した試料についても必要な処理(特に主要・微量の鉱物化学組成と全岩化学組成の決定)をおこない、まずは基本的な性質を捉える。その上で、これまで得られている成果と組み合わせることで、島弧マントルについての包括的な議論をおこなう。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に産前産後休暇および育児休業を取得しており、H29年度の末に事業年度を採択時のもの(H28~H30年度)から1年度延長し、H28~H31年度までと変更した。その時点では、既にH30年度の予算申請をおこなわなくてはならず、H30年度予算として全額を配分した。H31年度に適切に事業をおこなうために次年度使用額が生じている。
|