本研究は,隕石中の難揮発性包有物CAIの形成年代の精密測定から,初期太陽系円盤の高温環境における,CAIダスト凝縮プロセスの継続期間を明らかにした。三つの高温凝縮物CAIの形成年代に成功し,一つは太陽系誕生時(±5万年)に形成したものであったが,他二つは,その10±4万年後と17±4万年後に,それぞれ形成したものであった。高温凝縮物CAIの中で,太陽系誕生時と有意に異なる形成年代をもつものが初めて発見された。本研究により,初期太陽系円盤において,ダスト凝縮プロセスと溶融プロセスが,太陽系誕生から少なくとも約20万年間,同時に起き続けていたことが示唆された。
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