本研究では、微小領域の同位体比を測定する手法を駆使して、炭酸塩粒子内では炭素同位体比の変動は小さいが、粒子間の変動は大きいことを見出した。これは溶存炭素の炭素同位体比が空間的に不均質であったが、炭酸塩鉱物の形成中には変化しなかったことを示している。その空間的不均質は、炭素-13に富む成分と乏しい成分という、同位体比の異なる二つの成分が隕石の母天体中で不完全に混合していたことを示唆する。炭素-13に富む成分は隕石母天体に集積した固体二酸化炭素である可能性が高い。本研究は、隕石の母天体に含まれる固体二酸化炭素の存在量を推定することで、母天体が形成した当時の温度環境を制約できる可能性を切り拓いた。
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