Ni-C60-Ni接合において、C60が両電極に等しく結合している場合と片側のC60-Ni電極間距離を十分離した時の磁気抵抗比を第一原理伝導計算手法を用いて評価した。一般に、分子軌道と左右電極へのカップリングが等しければ正の磁気抵抗が得られると言われている(共鳴反転モデル)。-0.7eVのピークは共鳴反転モデルの通り正負反転するが、0eV付近のピークは負に転じることはない。この違いは、共鳴反転モデルに含まれていない要素、すなわち当該エネルギーに位置する分子軌道のスピン分極の様子の相違に起因するものであることを明らかにした。
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