今年度は、電気二重層の存在が吸着膜の不均一構造に及ぼす効果を明らかとするために基盤となる以下の成果を得た。 まず空気/水界面吸着膜で凝縮膜および凝縮膜ドメインを形成する分子を探索した。その結果、デカノール水溶液/空気水界面で気体膜ー凝縮膜相転移を確認し、BAM観察により相転移点近傍で凝縮膜ドメインを確認した。今後、イオン性界面活性剤との混合吸着膜の全反射XAFS測定、X線反射率測定、BAM観察により、ドメインの対イオン結合度や被覆率、形状を検討し、上記の目的を達成するための基盤となる系を見つけたという点で意義深い。 また、油相の溶媒効果に起因する分子間相互作用によるドメイン形態制御およびそれらの相関解明が期待できる油/水界面の吸着膜の電気二重層構造を調べるため、液液全反射XAFS法を展開した。ヘキサン/水界面での臭化ドデシルトリメチルアンモニウム吸着膜のBrイオンのχスペクトルを得ることに成功した。今後、従来は困難であった油水界面での対イオン結合度の定量が期待される。
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