研究実績の概要 |
固体触媒粒子内形状・構造の不均一性が触媒作用に及ぼす要因を明らかにするために、固体触媒粒子の空間分解イメージングXAFS 法による化学状態分布の可視化を行った。平成29年度は、(i)結像顕微XAFS法による樹状型FeOx及びFeCrOx粒子内のFe化学状態の可視化と、(ii)タイコグラフィーXAFS法による酸素貯蔵材料Pt/Ce2Zr2Ox(x=7-8)粒子内の酸素拡散の可視化の実験・解析を実施した。 (i)水熱合成により調製し水素還元処理を行った樹状型FeOxとFeCrOxをそれぞれ423 Kから673 Kの異なる温度で酸化処理を行った。各条件での樹状型FeOx及びFeCrOx粒子のFeK端結像顕微XAFS計測をSPring-8 BL37XUおよびBL32B2ビームラインで行い、得られた空間分解XANESスペクトルからα-Fe2O3/γ-Fe2O3/Fe3O4の相比率の空間分布を検討し各粒子の反応相変化傾向を調べた。 (ii)完全酸化処理を行ったPt/Ce2Zr2O8 (A), 完全還元処理を行ったPt/Ce2Zr2O7 (B), 部分酸化処理行ったPt/Ce2Zr2O7.6 (C)の3種類の粒子分散試料を用意し、SPring-8 BL29LXUにてタイコグラフィーXAFS計測を行った。ピクセル分解能は13 nm, 空間分解能50 nm以下のCe L3端2次元空間分解XAFSスペクトルを得て、その解析からCe密度とCe価数についての化学状態マッピングイメージが得られた。特に(C)ではCeの価数が粒子内で広い分布を持っており、化学状態イメージングデータを 65 nm大のドメインに分割し、ドメイン内の局所的なCe価数とCe密度の相関性を調べると、ドメイン毎に複数のタイプに分けられることがわかり、粒子内で複数の格子酸素拡散パスが存在することを可視化することに成功した。
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