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2016 年度 実施状況報告書

アリールシラン類のC-H活性化を利用した新規含ケイ素共役系縮合環の合成

研究課題

研究課題/領域番号 16K17872
研究機関横浜国立大学

研究代表者

所 雄一郎  横浜国立大学, 大学院工学研究院, 助教 (80709692)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードC-H活性化 / 有機ケイ素 / 多環芳香族炭化水素 / 環化反応 / ルテニウム触媒
研究実績の概要

シリル基を置換基として有する芳香族炭化水素や含ケイ素芳香環は,ケイ素に由来する特異な発光特性や電気化学特性を有するものが多い。報告者はルテニウム触媒によるアリールシランと内部アルキンの分子間環化反応を発展させ,種々の含ケイ素共役系縮合環の創出に取り組んでいる。2016年度は特に1-ナフチル基を有する二級シランや9-アントリル基を有する三級シランの反応性について検討を行った。
1-ナフチル基を有する二級シランを用いた場合,ケイ素周りの嵩高さに応じておおよそ3種類の生成物が得られることが明らかになった。ナフタレンの2位に立体障害となり得る置換基がない基質では,環化に必要なナフタレンの8位でC-H結合の切断が起こらず,アルキンのヒドロシリル化が進行した。ナフタレンの2位にメチル基を導入すると,ルテニウム触媒によるナフタレンの8位でC-H結合の切断が促進され,二通りの環化反応が起こった。ケイ素上の置換基の嵩が小さい場合にはアリールシランの二量化が進行し,ジシランを含む五員環が形成された。一方,ケイ素上の置換基が立体的に大きくなると,アリールシランとアルキンの分子間環化反応が進行し,含ケイ素六員環が形成された。以上の結果から,ナフタレンの2位とケイ素上の置換基が反応経路に大きな影響を及ぼすことを明らかにした。
9-アントリル基を有する三級シランは配向基であるシリル基の両側に比較的活性の高いC-H結合が存在するため,容易にアルキンとの分子間環化反応が進行することが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ルテニウム触媒によるアリールシランと内部アルキンの分子間環化反応1-ナフチル基を有する二級シランの反応性の傾向を明らかにすることができたため。特に想定していなかったジシラン生成物の構造を決定できたことは重要であると考えられる。

今後の研究の推進方策

シリル基を有する多環芳香族炭化水素の本反応への適用範囲をさらに拡げる。具体的には,シリルピレンやシリルフェナントレン等の反応性を検討する。また,得られた化合物について,紫外可視吸収スペクトル測定や発光スペクトル測定,電気化学測定,量子化学計算を行い,その物性を明らかにしていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

本務校が変更となり,必要な物品に変更が生じたため。また,研究協力者となる大学院生が減り,薬品の消費量が想定を下回ったため。さらに大学の業務等があり,予定していた学会への参加を見送ったため。

次年度使用額の使用計画

次年度使用額が生じた分,高額な試薬を購入し,合成実験の効率化を図る。また,量子化学計算を高速に行うために最新のソフトウェアを導入する。さらに余裕がある場合には,使用頻度が高い真空ラインやスターラーを増設し,混雑による実験の遅延を防ぐために研究費を使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ルテニウム触媒を用いた内部アルキンと第2級ジアリールシランのC-H結合活性化反応を伴う分子間環化反応2017

    • 著者名/発表者名
      大塚信彦,所雄一郎,福澤信一
    • 学会等名
      日本化学会第97春季年会
    • 発表場所
      慶應義塾大学
    • 年月日
      2017-03-17 – 2017-03-17

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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