電子豊富なパイ電子系ユニットを組み込んだ剛直な大環状分子は,興味深い電子的特性と酸化挙動を示す.本研究では,窒素を含んだパイ電子系を有する大環状分子の効率合成とそれらの酸化還元挙動の解明について研究を進めた.アントリレンユニットの様々な置換位置を窒素で連結した大環状分子の合成に成功し,酸化種の電子的特性を電子スペクトルとDFT計算により明らかにした.特に9,10-アントリレンユニットを組み込んだ含窒素大環状分子が構造的な要因で特異的な電子物性を引き出すことができた.本研究課題を進めることで,アントラセンの構造的特徴を活かした新たな大環状分子デザインを確立することができた.
|