キラルな過酸化物は抗マラリア薬など有用な生物活性分子に見られる重要な化合物群である。本研究では、豊富に手に入る分子状酸素を用いてキラル過酸化物を触媒的かつエナンチオ選択的に合成する手法の開発を目指した。とくに不斉収率の向上のためにデータ科学に基づく方法論を取り入れた。モデル反応を用いて不斉収率予測のための回帰モデルをつくり、その回帰係数から分子構造のどこが不斉収率にとって重要なのかを可視化した。可視化した重要構造情報をもとに分子設計を行い、その不斉収率を調べた。得られた結果をもとにデータ解析手法を改善した。以上の検討を通して不斉触媒反応におけるデータ駆動型分子設計のための知見を蓄積した。
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