アラインは芳香族化合物の合成素子として有用な高活性化学種であり、他の手法では困難な多置換ベンゼン類の合成に応用されてきた。本研究では、アラインの新たな利用法の開拓を目的として、アライン-Ni錯体の多様性を指向した簡便調製法を確立し、さらに低原子価Niとの錯形成によるアラインの極性転換を利用した新しい方法論を開発した。具体的には、アライン-Ni錯体の連続修飾による多置換芳香環の合成法およびアラインのヘテロ三量化による非対称トリフェニレン類の合成法の開発に成功した。本手法で得られた生成物は、難度の極めて高い芳香環化合物の合成を可能にするため、革新的な複雑芳香環合成戦略となると期待できる。
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