研究課題/領域番号 |
16K17908
|
研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
中林 千浩 山形大学, 大学院理工学研究科, 助教 (30613765)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 有機半導体材料 / 有機薄膜太陽電池 / 有機薄膜トランジスタ / 直接アリール化反応 |
研究実績の概要 |
本研究では、高性能な有機薄膜トランジスタおよび有機薄膜太陽電池の開発を目指し、それぞれのアプリケーションに最適なチエノイソインディゴ(TIG)骨格含有有機半導体材料の開発を行う。チエノイソインディゴ骨格含有有機半導体材料に関して、「分子構造-分子特性・ナノ構造」の相関性を解明することで、それぞれのアプリケーションに最適な材料設計指針を確立する。また、高分子合成の観点から、アトムエコノミカルな直接アリール化合成によりそれらの材料合成を行う。 TIG構造をアクセプター部として、4種類のチオフェン誘導体をドナー部に導入することで、TIG骨格を含有するドナー/アクセプター型低分子材料4種類をスティレカップリング反応により新規に合成した。得られた4種類の新規低分子材料の特性評価を、紫外/可視光(UV-vis)吸収スペクトル測定、サイクリックボルタンメトリー(CV)測定、および示差走査熱量(DSC)測定により行った。UV-vis吸収スペクトル測定の結果、ドナー部の構造調節によって最大で吸収端1100 nmに及ぶ広域な光吸収を達成した。電気化学特性については、-4.8から-5.0 eVの範囲でのHOMOの制御も達成した。さらに、DSC測定からはドナー部の最適化によって液晶相と考えられるナノ秩序構造を持つTIIG骨格含有低分子材料の合成が可能であることを見出した。 以上、4種類のチオフェン誘導体をドナー部に導入した新規TIIG骨格含有ドナー/アクセプター型低分子材料群の合成に成功した。さらに、それらの材料に関して「分子構造-分子特性・ナノ構造」の相関性を検証した結果、ドナー部の構造調節によって分子特性の制御のみならずナノ秩序構造を示す材料開発が可能であることを見出した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに4種類の新規TIG骨格含有低分子材料を合成し、それらに関して「分子構造-分子特性・ナノ構造」の相関性の検証を完了した。申請時の研究計画から大きな研究の遅れは生じておらず、これまでの進捗はおおむね順調に進展していると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
TIG骨格含有高分子材料の合成に着手し、高分子材料に関しても「分子構造-分子特性・ナノ構造」を詳細に検討し、低分子から高分子に至るTIG骨格含有有機半導体材料群について有機薄膜トランジスタおよび有機薄膜太陽電池に最適な材料設計指針の決定を目指す。さらに、それを踏まえて高性能な各アプリケーション開発を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は、本科研費に加えて当該研究に関連する奨学寄付金を獲得していた。予算執行上、奨学寄付金を先に使用しなければならず、当初の申請使用額と違いが生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成29年度の申請額については、計画通りに有機薄膜トランジスタと有機薄膜太陽電池作製のための消耗品および旅費として使用する。繰越分については、平成26年度の研究成果を踏まえて新規の高分子材料合成のための消耗品費として主に使用する。
|