研究課題
本研究では、チエノイソインディゴ(TIG)骨格含有有機半導体材料に関して、「分子構造-分子特性・ナノ構造」の相関性を解明することで、有機薄膜太陽電池に最適なTIG骨格含有有機半導体材料の開発を目指した。さらに、高効率かつ低環境負荷な高分子材料開発の観点から、直接アリール化反応によるTIG骨格含有導電性高分子の合成法の確立、および有機薄膜太陽電池への応用に取り組んだ。平成29年度、直接アリール化反応によるTIG骨格含有導電性高分子の合成法の確立と有機薄膜太陽電池への応用に取り組んだ。直接アリール化反応の触媒サイクルに立脚したTIG骨格含有モノマーを合成し、そのモノマーに対して反応条件を詳細に検討することで、高収率でTIG骨格含有導電性高分子を得る直接アリール化合成法を確立した。さらに、直接アリール化反応で得たTIG骨格含有導電性高分子をドナー材料に用いた有機薄膜太陽電池から、3%以上の変換効率を達成した。この変換効率は、TIG骨格含有導電性高分子を用いた有機薄膜太陽電池の報告例の中で、非常に高い性能であった。この結果は、直接アリール化合成法で得たTIG骨格含有導電性高分子の有機エレクトロニクス応用研究に期待が持てる一例と言えるであろう。本研究では、TIG骨格含有有機半導体材料に関して、「分子構造-分子特性・ナノ構造」の相関性を詳細に解明するとともに、直接アリール化反応による高効率なTIG骨格含有導電性高分子の合成法を確立することに成功した。さらに、上述の導電性高分子を用いた有機薄膜太陽電池開発からは、直接アリール化合成法で得た導電性高分子の有機エレクトロニクスへの実利用に期待が持てる成果を得た。
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Polymer Journal
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10.1038/s41428-018-0039-5
Journal of Polymer Science, Part A: Polymer Chemistry
巻: 56 ページ: 430~436
10.1002/pola.28912