ハイブリッドナノゲルを利用したセンサー材料の創出を目的に、分子レベルで有機成分と無機成分がハイブリッドした構造を有しているPOSSとを利用した。POSSは、ビチオフェンもしくはトリフェニルアミンで、縮合反応により結合し、ゲルを形成した。得られたハイブリッドナノゲルは、水溶液中で 450 nm 付近 (ビチオフェン)と460 nm 付近 (トリフェニルアミン) にブロードピークが観測された。またピーク波長は、色素のみの場合より長波長側に移動した。ハイブリッドナノゲルの検出対象として、粒子サイズと脂肪酸の異性体認識を選択した。その結果、シリカ微粒子のサイズに応じ、ハイブリッドナノゲルの発光ピークトップは、変化した。また、trans脂肪酸とcis脂肪酸を認識して、発光ピークトップが短波長シフトした。これは、POSSの疎水性効果を利用した、ハイブリッドナノゲルの応用例の1つになると期待される。 生体活性化合物アミノ化合物は毒性が高く、高感度での検出が求められる。検出には、生体内で非侵襲の測定である、MRIが注目されている。MRIの感度向上を目指し、フッ素NMR信号を示す常磁性フッ素化ナノゲルの合成を行った。POSSの放射状に広がった置換基へフッ素置換基を導入し、常磁性ニッケルが配位したポルフィリンを吸着させた。その結果、POSSの高水中分散性からニッケルの磁性を損なわずフッ素NMR信号を示す、常磁性フッ素化ナノゲルが得られた。これは、市販のアミン化合物を蛍光法と同程度の濃度で添加することで、フッ素NMRの信号が減少する挙動を示した。信号の減少時、凝集体が形成すること、NMRの緩和時間が変化しないことから、アミン化合物により形成した凝集体は常磁性効果の増強によりフッ素NMR信号を示さなくなり、残留した常時性フッ素化ナノゲルのフッ素NMR信号が観測されたと考えられる。
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