本研究では、一次構造の明確な高分子薄膜を調製し、その水界面における静的・動的構造と物性、ならびに血液適合性を検討した。これより、水界面における機能発現制御に向けた分子設計指針の提案と、新たな機能性水界面の創製を目指した。親水性グラフト鎖を有する分岐型高分子を設計し、これを直鎖状高分子とのブレンド膜表面に濃縮させることで膜表面におけるタンパク質吸着抑制を達成した。また、架橋密度の異なるハイドロゲル薄膜を設計し、その水界面近傍における膨潤挙動や弾性率と血小板粘着挙動を評価した。その結果、水中における膨潤率が高く、界面近傍の弾性率の小さなハイドロゲル膜が優れた血液適合性を示すことを明らかとした。
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