本課題では、電極上のマイクロ秒の時間領域で進行する化学反応の反応メカニズムを明らかにするために、検出された蛍光X線の時刻を計測しながらXAFSスペクトル測定を行なう新規時間分解XAFS法の確立を目指している。 H28年度に、高速デジタルパルスプロセッサ及び蛍光X線検出器の購入を行い、それぞれの性能評価を行った。デジタルパルスプロセッサと検出器の性能評価を、既に過渡的な信号変化が知られている二酸化バナジウム薄膜の反射率測定で行った。既に得られている二酸化バナジウム薄膜の過渡的な反射率の同様の結果が得られたため、計測システムとしては妥当なものであることが確認された。H29年度は、購入した検出器とデジタルパルスプロセッサを用い、XAFSスペクトルでの過渡的な変化を得ることを目指した。試料として、既にXAFSで過渡的な変化が得られているWO3及びFe(pehn3)錯体の過渡吸収スペクトルの取得を目指し2度シンクロトロン放射光での実験を実施した。最初の実験では、デジタルパルスプロセッサの不具合などのために、従来の結果を再現することができなかった。デジタルパルスプロセッサを修正・改良して、二酸化バナジウム薄膜の相転移過程について、XAFSスペクトル測定を行った。また、XAFSスペクトルを測定するために、シンクロトロン放射光装置と同期が取れるよう、プログラムの作成などを進め、購入した検出器とデジタルパルスプロセッサを利用して、XAFSスペクトルを得ることが出来るようになった。
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