研究課題/領域番号 |
16K17932
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
神谷 由紀子 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (00527947)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | RNA / siRNA / RNA干渉 / 蛍光イメージング / FRET / 色素 |
研究実績の概要 |
本研究では、これまでに開発してきた消光剤-蛍光基導入型siRNAに加えて、新たにFRET型siRNAを開発し、これらのsiRNAをイメージングプローブとして活用することで、RNAiシステムで生じる様々な状態のsiRNAを検出することで、これまで詳細が不明であったsiRNAの細胞内動態を明らかにすることを通じて、RNAi機構の詳細を理解することを目指してい る。 平成28年度は二重鎖状態のsiRNAを細胞内で検出するためのプローブとして、FRETラベル型siRNAの開発を目指した。そのため、siRNA内に導入する色素ペア、導入位置の最適化を試みた。色素ペアの検討では、BO、TO、Cy3、TR、ペリレンを用いて検討を行った。また、色素を導入する位置においては、以前に開発した蛍光基-消光剤ペア導入型のsiRNAプローブの設計に倣い、siRNAのセンス鎖の5’末端近傍、アンチセンス鎖に3’末端近傍にD-threoninolを介して付加的に導入することで、アンチセンス鎖選択的にRISCが形成されることを期待した。 まずは各色素を導入したセンス鎖とアンチセンス鎖を合成し、siRNAの蛍光測定を行うことで最も効率よくFRETがおきるための色素間距離の検討を行った。その結果、RNA二重鎖において色素間距離を2bpにした場合に効率の良いFRETが観測されることが明らかとなった。色素ペアの検討に関しても進めた結果、ドナーあるいはアクセプターとして用いるべき色素の候補を絞ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FRET型siRNAの設計において、最適な色素導入位置を明らかにすることができ、本年度の目標の一つを達成することができた。また、次年度より予定しているsiRNAの細胞内イメージング解析を進める前段階として、適切な細胞内導入法の検討を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
FRETラベル型siRNAの開発を完了させるために、色素の開発ならびに色素間のFRET挙動の解析を再開し、siRNAのイメージング解析を行うために最適な色素対を明らかにする。その後、FRETラベル型siRNAを用いた細胞内イメージング解析に着手する。輸送機構を明らかにするために、細胞内輸送経路の各種阻害剤を用いた解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
出産・育児のため、H28年11月~H29年3月まで産前産後の休暇・育児休業を取得した。その間、本課題研究を中断していたため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
当初平成28年度に予定していた、FRETラベル型siRNAの最適な色素ペアおよび色素導入位置の検討について、平成29年4月より再開する。平成29年度に繰越した経費は本研究を遂行するための試薬等の購入のため、物品費等で使用する予定である。
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