最近申請者は、DNAのリン酸骨格にビピリジン配位子を導入する方法を確立し、精密制御可能なDNA金属酵素を開発することに成功している。本研究では、多様なDNA塩基配列と金属イオンの組み合わせを基盤とするDNA金属酵素ライブラリーを構築し、α,β-不飽和ケトンの水化反応不斉反応を行った結果、87%という高い選択性で生成物を得ることに成功した。本研究は自然界の加水酵素の機能をDNAで代替できる可能性を示唆する有意義な結果である。さらに、申請者が開発したDNA金属酵素では右巻きのらせん不斉を保ったまま、既存の超分子集合型DNAハイブリッド触媒とは逆のエナンチオマーが得られることも確認している。
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