研究課題
テロメアDNAから転写され生成するテロメアRNAの存在が明らかとなって以来、その構造や生体機能の解明に関する研究が盛んになされている。これまで、テロメアRNAとテロメアDNAの分子間の特殊な四重鎖構造の形成やテロメアRNA四重鎖構造の細胞内での挙動などは、それらを解析する技術がないために全く不明であった。そこで本研究では、テロメアRNAで構成される上述した特殊な四重鎖構造の機能解析を可能とするフッ素基を応用した化学修飾法を開発することを目的とした。初年度では、フッ素基修飾を5’末端修飾とした場合が最も高感度かつ高精度な化学修飾法であることを見出した。本手法を用いて、細胞環境下ではテロメアRNA四重鎖構造にどのような影響を及ぼすかをIn-cell 19F-NMRにより検討した結果、四重鎖構造の二量体の形成が優先して起こることを明らかとした。次年度では、本手法によるテロメアRNA四重鎖構造と相互作用する小分子やタンパク質の検出に成功した。また、テロメアRNAとテロメアDNAの分子間の特殊な四重鎖構造の形成を19F-NMRにより簡便に検出し、その熱安定性も明らかとした。さらに、開発したフッ素基修飾法をDNA四重鎖構造へ応用し、19F-NMRでの検出のみならず、蛍光検出も可能で、さらに従来の四重鎖構造を安定化させることもできる機能性核酸塩基を合成し、本手法の拡張にも成功した。こうして、本研究ではテロメアRNAで構成される特殊な四重鎖構造を細胞内で解析する化学修飾法の開発に成功し、テロメアRNA四重鎖構造の新たな知見も得ることができた。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 4件) 備考 (1件)
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