研究課題/領域番号 |
16K17940
|
研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
神田 康晴 室蘭工業大学, 工学研究科, 准教授 (70447085)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | リン化ロジウム / 水素化脱硫反応 |
研究実績の概要 |
昨年度、リン化ロジウムに3mol%のNiを添加することでチオフェンのHDS反応活性はわずかに低下するが、中間生成物(テトラヒドロチオフェン)の生成量を低減できる(C-S結合開裂能が向上する)ことを見出した。さらに、Ptの添加はRh-P触媒のHDS活性を損なわず、C-S結合開裂能を向上させることがわかった。そこで、本年度は第2金属添加リン化ロジウム触媒のキャラクタリゼーション(XRD、昇温還元(TPR)、CO吸着IR、in-situ XAFS)を行った。 第2金属として第4周期金属(Ni、Co、Fe、Mn)を添加したRh-M-P触媒のTPRプロファイルを測定したところ、Rh-Ni-P触媒では他の触媒よりもリン酸種の還元が低温側で見られた。昨年度、この触媒は他の触媒よりも低い還元温度で高い活性が得られることを明らかにしており、本結果はこの結果とも一致する。一方で、Ptを添加したRh-P触媒のTPRプロファイルは、ほとんどRh-P触媒と変わらないことがわかった。 さらに、SPring-8のBL01B1において、これらの触媒のin-situ Rh-K edge XAFS測定を行った。Rh-Ni-P触媒は低い還元温度(450℃)でも、Rh-P触媒よりもリン化ロジウムの生成割合が高いことがわかった。これは、HDS活性の最適還元温度が低く、TPRの結果とも一致する。これに対して、HDS活性に対する最適な還元温度(600℃)で処理したRh-Pt-P触媒では、リン化ロジウムの割合は最高となった。以上のことから、Rh-Pt-P触媒が高いC-S結合開裂能とHDS活性を示したのは、リン化度が高かった可能性が原因の一つとして考えられる。詳細なEXAFS領域の情報は解析中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Sabatierの原理に基づき、Rh-SよりもM-S結合が強い金属を添加することでC-S結合開裂能が向上できると考え、Rh-P触媒へPtの添加がこれに効果的であることを見出している。一方で、予想に反してM-S結合がRhと同程度のNiをRh-P触媒に添加することでも、C-S結合開裂能の高い触媒が得られた。この理由について検討するため、キャラクタリゼーションを行った。このキャラクタリゼーションの中でも構造を決定するために重要なin-situ XAFS測定を行えたことが非常に大きかった。これにより、Rh-Pt-P触媒が高い性能を示す理由の一端を解明できたと考える。しかしながら、Niを添加した触媒の高いC-S結合開裂能については説明できていない。そのため、来年度も引き続きこれらの触媒のキャラクタリゼーションを行う。 当初、Rh-M-P触媒の水素化活性についても検討する予定であったが、こちらはまだ実施できていない。そのため、研究が進んだ部分と進まなかった部分を総合的に判断し、おおむね順調に進んだと評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は第2金属添加Rh-P触媒の活性評価を下記の2点について検討する。 1. 芳香族の水素化反応を行い、水素化能を評価する。 2. 重質油中に含まれる4,6-ジメチルジベンゾチオフェンのような難脱硫化合物に対するHDS活性を評価する。 また、課題として残ったRh-Ni-P触媒が高いC-S結合開裂能を示した理由について解明するため、Ni K-edgeのXAFS測定などを行うことで、より詳細なキャラクタリゼーションを行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
理由:おおむね予算通りの額を使用したが、前年度の未使用額(38,332円)のおよそ2/3を使い切ることができなかった。そのため、本年度は22,393円の残額となった。 使用計画:来年度が最終年度であり、十分な研究成果を得るためにもこの残額を生かせる使用方法を考えて、予算執行する。
|