研究実績の概要 |
これまで、Rh-P触媒にNiおよびPtを添加することで、チオフェンの水素化脱硫(HDS)反応においてC-S結合開裂能が向上することを明らかにした。さらに、昨年度はこれらの触媒のキャラクタリゼーション(XRDおよびRh-K edge XAFS)を行った。低い還元温度(450℃)で高いHDS活性を示したRh-Ni-P触媒では、リン化ロジウムの生成が認められた。また、高い還元温度(600℃)で処理なければ高いHDS活性を示さなかったRh-Pt-P触媒では、この際にリン化ロジウムの割合が最大となった。 そこで、本年度はこれらの触媒を用いて難脱硫化合物である4,6-ジメチルジベンゾチオフェン(4,6-DMDBT)のHDS反応を行い、さらに触媒特性の評価を行った。反応温度330℃、水素圧4.0MPaでRh-Ni-P触媒はRh-P触媒と同等のHDS活性を示した。さらにRh-P触媒にNiを添加すると、水素化された中間体の収率が低下し、C-S結合の開裂能が向上していることを明らかにした。一方、Rh-P触媒にPtを添加すると、水素化された中間体の収率が増加し、C-S結合開裂能ではなく、水素化能が向上する傾向が見られた。 また、NiおよびPt側から見たXAFS測定(Ni-K edgeおよびPt-L3 edge)も行い、活性点構造を解析した。水素還元後のRh-Ni-P触媒では、Ni種としてNi2P2O7が最も多く、金属Ni、Ni2Pの順にその存在量が減少した。さらに、Rh-Pt-P触媒では、600℃で水素還元後に金属PtおよびPtP2以外の状態のPt種が存在しており、これはPtP2以外のリン化物種と考えられた。 以上のことから、Rh-Ni-PおよびRh-Pt-Pで異なる触媒特性が見られたのは、加えた第二金属の状態が違うことが一つの原因として考えられた。
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