本研究では、非レア金属と天然アミノ酸からなる多核金属錯体触媒の構築と、水還元触媒機能の開発について検討した。最終年度は、システインをもつ第一遷移金属錯体を研究対象とした。コバルト錯体では、電気化学条件下において水を還元して水素を発生する触媒として機能することが分かった。さらにそのコバルト錯体を金(I)イオンで連結したコバルト(III)金(I)5核錯体を調製して、同条件で触媒挙動を調べたところ、水素発生の過電圧が約400 mV軽減することが明らかになった。以上、アミノ酸のみを配位子とする単純な金属錯体でも、異種金属イオンの共同効果によって水素発生触媒能を示すことを明らかにした。
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