研究課題
若手研究(B)
本研究では、天然アミノ酸からなる多核金属錯体触媒の構築と、水還元触媒機能の開発について検討した。ペニシラミンをもつパラジウム(II)錯体は、グラッシーカーボン電極上において、溶媒の水分子を活性化し、水素を触媒的に生成することが分かった。さらにニッケル(II)イオンを混合した異種金属錯体では、水還元機能が劇的に向上する協同効果を示すことが明らかになった。また、システイン錯体についても水の還元機能を有することを明らかにした。
錯体電気化学
本研究成果として、「アミノ酸を唯一の有機物として使用し、複雑な合成過程を必要としない水還元触媒分子の構築」を「硫黄架橋多核錯体アプローチ」により達成した点がある。合成プロセスを簡略化できる有効な手段を見出したといえる。また、アミノ酸錯体の電気化学を初めて明らかにし、アミノ酸配位化学への学術的貢献も果たした。