研究課題/領域番号 |
16K17949
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
鈴木 充朗 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教 (20724959)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 金属―有機構造体(MOF) / 有機半導体 / 自己組織化 |
研究実績の概要 |
本研究は,有機π共役ユニットを合成化学的手法により極めて精密かつ強固に集積し,集合体として発現される物性と機能の最大化に挑むものである.本助成期間中はその端緒として,拡張π共役ユニットを構成要素とする金属-有機構造体(Metal-Organic Framework, MOF)の創製と機能開拓に取り組む.平成28年度は,可溶性前駆体から熱や光などの外部刺激により目的物を定量的に得る「前駆体法」を駆使して難溶かつ/もしくは不安定な拡張π共役系をMOFに組み込むため,①必要となる有機リンカーの合成,および②得られた有機リンカーを用いたMOFの合成を検討した. 項目①については,ベンゾポルフィリンの熱前駆体(CP)を部分構造とする有機リンカーとペンタセンの熱前駆体(CPEN)を部分構造とする有機リンカーを,それぞれ12ステップおよび9ステップで合成した.尚,前者はMOFの合成検討に十分なスケールで高純度品を得るための条件を確立しており,後者は小スケールでの予備実験で生成を確認した段階である.項目②については,CPを部分構造とする有機リンカーを用いて検討を行ったが,目的とするMOFの形成は確認できなかった.そこで,モデル化合物となるリンカーを別途合成して検討を行い,対応するMOFが再現性良く得られる反応条件を見出した.今後は,モデル系で確立した反応条件を適用して目的化合物の合成を試みる予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的とする構造体の構築に向けて,おおむね当初の計画に沿ってユニット合成を進めた.構造体が当初の想定通りに得られなかったものの,モデル化合物を用いた検討により問題点を抽出し,その解決に向けた指針を得ている.さらに類縁化合物の合成にも着手しており,関連研究への展開を積極的に進めている.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,当初の計画に沿って合成検討を進める. 現在の課題である構造体の合成については,有機リンカーの凝集性を緩和することで解決できることを示唆する結果が得られており,その指針に沿って分子構造のチューニングを行う.その後,構造体の電子物性評価および複合機能化へと検討を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
目的化合物の合成法を確立したのち大量合成と物性検討を行う予定であったが,合成検討で問題が発生したことから小スケールでの条件探索を中心に研究を行ったため,未使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
本年度に実施できなかった大量合成を次年度に行うこととし,次年度使用額はその経費に充てる予定である.
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