本研究は,有機電子材料が発現する物性と機能の最大化を目指し,有機π共役ユニットを精密かつ強固に集積するための方法論を確立することに挑むものである.本助成期間中は,可溶性前駆体から熱などの外部刺激により目的化合物を定量的に得る「前駆体法」を駆使し,難溶もしくは不安定な拡張π共役系を骨格要素にもつ結晶性構造体を得ることを課題とした.検討の結果,当初設計したビルディングユニットの合成に成功するとともに,得られたビルディングユニットを用いることで過去に報告例の無いモチーフを持つ構造体が得られることを見出した.これらの成果は,有用な新規有機電子材料の実現に向けた足掛かりになると期待される.
|