研究課題
一般的にアセン類やポルフィリンに代表されるπ共役分子は平面性の高い構造を有している。一方、フラーレンやカーボンナノチューブなどの化合物はπ曲面を有しており、平面型の分子とは異なった性質を示す。本研究において、湾曲構造有する化合物としてポルフィリン(2.1.2.1)を見出し、その合成法の確立と機能開拓を目的に研究を遂行した。これまでに、市販化合物から簡便に合成および誘導体化が可能な1,2-ジピロリルベンゼン誘導体を用いて、酸触媒存在下ベンズアルデヒドと環化および酸化させることでポルフィリン(2.1.2.1)を比較的良好な収率で得ることに成功した。さらに、ポルフィリン(2.1.2.1)の湾曲構造を活かして環状ポルフィリン多量体の合成を試みた。1,2,4,5-テトラピロリルベンゼンを用いて環化反応を行うことで環状ポルフィリン多量体に成功し、単結晶X線結晶構造解析からベルト状の構造であることを確認した。またこの環状ポルフィリン多量体はフラーレンと超分子錯体を形成するとも見出した。以上のように、本研究において、湾曲構造を有するポルフィリン(2.1.2.1)や環状構造を有する化合物の合成法を確立し、この湾曲構造を活用した超分子構造や有機半導体への応用の可能性を見出すことに成功した。
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