研究課題/領域番号 |
16K17962
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
伊田 翔平 滋賀県立大学, 工学部, 助教 (80610740)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ゲル / 両親媒性 / 刺激応答性 / アクリルアミド / リビングラジカル重合 / 架橋 / ハイブリッド材料 / モノマー配列 |
研究実績の概要 |
本研究では両親媒性ゲルの高機能化に向けて、架橋ドメインとリンキング鎖の設計に基づく両親媒性ゲルの新たな設計指針を確立することを目指している。この目的達成のため、今年度は1.「トリブロックポリマーの架橋による両親媒性ドメインゲルの合成」、2.「末端架橋による機能性ゲルの合成」を行い、以下の成果を得た。 1.「トリブロックポリマーの架橋による両親媒性ドメインゲルの合成」:外側のブロックに反応性部位を持つABA型トリブロックポリマーを精密合成し、これらを架橋することによってゲルの合成を行った。この時得られるゲルは、外側のブロックのみで架橋されるために架橋ドメインが形成され、中央のブロックがリンキング鎖として架橋ドメインを繋ぎ合わせた構造を有すると考えられる。今年度は親水性モノマーと温度応答性モノマーを組み合わせ、種々の分子量やモノマー配列を有するトリブロックポリマーを合成した。これらのトリブロックポリマーを架橋することによって得られたゲルの水中における膨潤挙動を評価したところ、両モノマーがランダムに配列したゲルと比較して、温度変化に対して鋭敏かつ大きな体積変化を示すことがわかった。 2.「末端架橋による機能性ゲルの合成」:本研究では剛直な無機化合物を疎水性架橋ドメインとした両親媒性ゲルの合成も目指している。今年度は両末端に反応性部位を有するテレケリックポリマーを精密合成し、様々な構造を有する多分岐架橋剤と反応させることによって末端架橋し、ゲルの合成を試みた。その結果、ゲル化には末端架橋反応の選択が重要であることに加え、溶媒の効果が大きいことを明らかにした。また、テレケリックポリマーの設計によって、得られるゲルに自己修復機能を付与することも可能であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ABA型トリブロックポリマーの架橋によって得られるゲルを合成し、特徴的な膨潤挙動を発現することを明らかにすることができた。また、末端架橋によるゲルの合成に関して、反応条件の最適化に向けた情報が得られただけでなく、高機能性を有するゲルの開発も行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、トリブロックポリマーの構造を様々に変化させ、水との親和性を大きく変化させることによる膨潤挙動や力学特性への効果を調べることによって、新規両親媒性ゲルの特徴を明らかにする。これとともに、剛直な無機化合物を架橋剤とした末端架橋によるゲルの合成を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究開始当初、前駆体高分子の評価をより高精度に行うためにGPCシステムの更新を検討し、多額の予算を計上していた。しかし、他の共同研究を進行させている過程でGPCシステムを使用できることとなり、2016年度中に購入する必要が失われた。そのため、次年度に予算を繰り越すこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
上記共同研究の継続状況を見て、GPCシステム更新の検討を引き続き行う。GPCの使用が今年度も引き続き可能であれば、合成したゲルの評価を行うための力学試験機の治具購入もしくは更新に用いる。その他、消耗品や旅費については当初の研究計画を元に進める。
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