研究課題
H30年度の研究では、ナノカーボン内包構造等の構築なしに、長期サイクルを可能とする新規化合物として、Li3VO4(LVO: 理論容量 = 394 mAh g-1)に着目し、研究を行った。この中で、電気化学処理により構造中へのLi脱挿入を繰り返すことで、カチオン配列を無秩序化(cation-disorder化)でき、反応の可逆性を引き出せることを見出した。しかしながら、電気化学的な制御には様々な工程(電極化・セル組み立て・充放電)が必要不可欠であり、非常に煩雑な手法を必要であった。そこで、H31/R1年度はLVO粉末の状態で活性化処理を行う活性化LVOの直接合成に着手した。具体的には、あらかじめ固相で合成した LVOに対し、遊星ボールミルを用いて粉砕することで活性化(メカニカル活性化)させることを試みた。ボールミル処理時間に応じて、徐々にXRDパターンが変化していき、36時間後の粉砕処理サンプルでは、電気化学処理で得られたサンプルに近いXRDパターンへ変化したことが確認できた。また、V K-edgeのXAFS測定結果からXANES領域のピークのブロード化が確認され、V原子が様々なエネルギー準位を持つように変化していることがわかった。これより、メカニカル処理によって、電気化学処理と同様にLVO結晶中のカチオン配列を無秩序化(cation-disorder化)したcation-disordered LVOを「直接合成」することに成功した。また、電極化にあたり、加えるカーボン量も20wt%以下に抑えた安定な充放電にも成功した。課題申請当初の化合物(ナノカーボン内包型構造)は50wt%以上のカーボン使用を前提としており、カーボン使用量の削減により、体積あたりの電極実容量や電極塗工面の向上にも繋がった。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
Chemistry of Materials
巻: 32 ページ: 1011-1024
10.1021/acs.chemmater.9b03665
Electrochemistry
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https://cirimat.cnrs.fr/?lang=fr