本研究では,疲労条件下での応力集中部における水素凝集メカニズムに及ぼす応力速度効果を数値解析により明らかにし,実験的にも検証・考察を行い以下の知見を得た。 1)水素濃度に関する「応力速度」の影響について数値解析を行った。この結果,鉄鋼材料やアルミなど多くの金属が有する「加工硬化に対してのひずみ速度効果」は無視できるものとの解析結果を得た。また,応力多軸度により水素凝集能力を評価できる可能性を示した。 2)水素チャージ材に対する疲労試験からは,疲労負荷の負荷速度によりき裂成長挙動の変化が見られた。これにより,応力速度に依存して水素脆化メカニズムが変化する可能性を見出した。
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