本研究では,複合材料中の繊維-母材界面の非線形性に起因する高調波発生挙動を数値的に検討した.数値解析の結果,繊維-母材界面の結合状態の指標である接触面剛性によって二次高調波の散乱波の指向特性が大きく異なることなど,従来知られていなかった非破壊評価に有用と考えられる現象が確認された.これに加えて,炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を対象として,その微視的・巨視的な損傷と超音波伝搬に伴う非線形性の変化との関係について検討を行った.本検討では非線形パラメータβとCFRPに生じる損傷についての知見を得るとともに,減衰係数と高調波発生特性による,CFRPに生じる損傷の評価の可能性を示した.
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