研究実績の概要 |
微小径穴の加工方法には,加工反力が小さく,加工精度の高い放電加工法が最適である。放電加工を用いた微小径の穴加工では,穴径に対応した微小径の電極が必要となり,この電極の成形方法が重要となる。著者らは,電極(以後,軸)と被加工物(以後,成形プレート)を配置し,軸を回転させながら成形プレート側へと走査放電加工する微細軸成形法を提案した。本手法は,放電面積が広いため他に研究されている方法に比べ効率のよい加工を実現している。また,本手法によって成形した軸を電極として用い,微小径の穴加工を同一機上で試みた。軸の先端を成形プレート下面より出すことで,真直度の高い軸を成形することが可能となった。これまで,タングステン・タングステンカーバイドを軸として用いた場合の軸直径と走査距離の関係を示した。タングステンカーバイドを軸に用い,直径約10 μmの微細電極を約15 分で成形している。 一般的な放電表面改質法は,圧粉体電極や焼結体電極を用い,被加工物に対して電極材料を移行堆積させる技術である。高度に電極材料を相手材に移行できるものの,電極工具の製作や放電の電源回路が特殊であるなど課題も多く,通常の放電加工機をそのまま利用することが困難である。そこで,一般的な金属材料を用い,電極極性,長パルス幅,電極工具の回転数,回転方向などの放電条件を考慮し,これらが母材表面への高機能性化へおよぼす影響を調査した。パイプ電極工具Cu(φ5, 肉厚0.2 mm)を用いて表面改質した結果,同一条件において放電加工を行っても,異なる材料を用いることで加工-堆積と結果に違いが出ることを示した。鋼材は全ての加工条件において100 μmの除去加工がされ,Cuは薄くではあるが全ての加工条件において2~4 μmの堆積が見られた。
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