研究課題/領域番号 |
16K17999
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研究機関 | 長岡工業高等専門学校 |
研究代表者 |
井山 徹郎 長岡工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (00452087)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アディテブマニュファクチャリング / セラミック / 3Dプリンタ |
研究実績の概要 |
熱溶融積層方式(FDM)の3Dプリンタに用いるフィラメント材料について、セラミックのグリーン体を作製するためにセラミック粉と結合剤の体積比が70:30となる専用のフィラメントを開発した。フィラントの作製にあたり、セラミックと結合剤の混合を任意に調整できる単軸の小型押出機を製作し、これにセラミック粉と結合剤を供給することで所望するフィラメント材料を得られた。結合剤に対するセラミック粉の含有割合が増加するに従い、フィラメントの柔軟性が乏しくなり、60%以上の割合では3Dプリンティングできないほどの脆さとなってしまった。そのため、セラミック粉のバインダー材料として使用する熱可塑性樹脂を、ABS樹脂からポリアミド系樹脂(ナイロン)に変更することで、セラミック粉の含有量が70vol.%を超えた場合においても造形精度が悪化すること無く3Dプリンタでの造形が可能となった。 開発したフィラメントは市販されているFDM方式3Dプリンタを改造することなく使用可能で、造形精度はフィラメント直径のばらつきに関するもの以外は市販フィラメントを用いた場合と同程度であった。また、セラミック粉の含有割合を変えることで造形物の硬さ、耐摩耗性などの機械的特性の向上が確認された。これにより得られた造形物を加熱雰囲気中で脱脂し、その後焼成することでセラミック焼結体の作製が可能であることを確認した。ただし、開発したフィラメントを用いた方法では脱脂工程中に造形物の形状精度が著しく悪化してしまった。これは結合剤材料に使用されるナイロン樹脂の熱脱脂が200℃と、セラミックスの焼成温度に比べて低いことが原因であり、現在、焼成温度が400℃程度のガラス系の低融点セラミックスを用いた焼成の可否について調査している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた、FDM式3プリンタによるセラミックを含有した造形物の作製方法については予定通り確立できた。得られた造形物の脱脂、焼成工程において、造形物の形状の悪化について考慮しない条件においては焼成体が作製可能となったが、形状の悪化を抑制しつつ所望するセラミックスを作製する点について難航している。ガラス系のセラミックスの作製の検討や熱処理条件の見直しを含め、継続して形状精度を維持した焼成体の作製方法を検討する。
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今後の研究の推進方策 |
焼成過程における造形形状の悪化を防ぐために、大気圧雰囲気下での焼成に加えて熱間等方圧加圧法(HIP)による焼成を検討予定である。 また、異なる材料を複数のノズルから吐出し造形した造形物について焼成前後において傾斜機能特性をそれぞれ発揮させることができるかについて実験的に検証を行う。
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