研究課題/領域番号 |
16K18000
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター |
研究代表者 |
紋川 亮 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 開発本部開発第二部バイオ応用技術グループ, 主任研究員 (10399397)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 局在プラズモン共鳴 / インフルエンザウイルス / ナノインプリント法 |
研究実績の概要 |
高病原性トリインフルエンザウイルス(H5N1)は、致死率が70%台と非常に高く、感染拡大を抑制する対策の構築が喫緊の課題である。本研究の目的は、感染抑制対策として有効な、超高感度インフルエンザ簡易検査チップを開発することにある。本研究では、インフルエンザ簡易検査システムを実現させるために、①金ナノパターンチップの量産化をナノインプリントリソグラフィー法により実現する。また、得られた金ナノパターンチップを用いて、②インフルエンザウイルスの検出能力を評価する。 本研究では、平成28年度に金ナノパターン形状の最適化とナノインプリント法による量産化、29年度に量産した検査チップの性能評価を計画している。平成28年度は、金ナノパターン形状の最適化とナノインプリント法による量産化を実施した。金ナノパターンの構造は、FDTDシミュレーションを用いて最適化した。金ナノパターンの直径とピッチを変化させることにより、LSPRスペクトルの形状およびピーク位置は変化することが明らかになった。さらに、それぞれの金ナノパターンにタンパク質を吸着させた場合のスペクトル変化についてシミュレーションした。その結果、近赤外領域にピーク波長を有する金ナノパターン形状において、ピークシフトが発生することが明らかとなった。次に、FDTDシミュレーションによる最適化を基に、熱ナノインプリント法により金ナノパターンを作成した。作成した基板を用いてインフルエンザウイルスの検出試験を実施した。その結果、LSPRスペクトルは、1fg/mlのトリインフルエンザウイルス(H5N1)を滴下することにより、高波長側にシフトすることが明らかになった。この結果、開発した検査チップは、PCR法と同等の検出感度での検査を10分程度で実現可能であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
熱ナノインプリント法による金ナノパターン基板の作成における条件の最適化が、当初の予定時間より、短時間で終了しており、かなり順調に研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究に関しては、予定通り、検査チップのインフルエンザウイルス検出能力評価を実施する。具体的には、①インフルエンザウイルスの検出試験、再現性試験(ナノパターンチップの性能評価)、②H1N1、H5N1インフルエンザウイルスの認識性評価、③夾雑物の影響、検量線、検出限界に関して、研究を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
必要物品が入札により、予定より安く購入することができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
試薬等の消耗品費として利用する予定である。
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