超臨界水や超臨界二酸化炭素は化学工学における溶媒や発電システム,熱交換機における冷媒としての利用が急速に拡大している.それらの流路のほとんどは複雑な形状を持ち,さらに熱交換機や反応器内部では壁面近傍において加熱および冷却を伴う.特に臨界点近傍では急激な定圧比熱の変化によって温度境界層が薄くなることが知られている一方で,それらを正確に捉えることが超臨界流体の熱流動解明には必要不可欠である.前年度までに構築してきた直交格子のみを用いた超臨界流体の流動解析では壁面からの加熱,冷却などを含めた解析が十分に検討がなされていなかった.前年度までに二次元コードを開発し,加熱および冷却を伴う直管および湾曲管内における超臨界二酸化炭素の強制対流の熱流動の計算を行い,臨界点近傍における密度変化による浮力の影響を評価した.本年度はさらに三次元コードへの拡張を行い,三次元形状における超臨界二酸化炭素の熱流動の解明を行った.特に格子と加熱壁面が直交しない場合において本研究で提案した直交格子法とメッシュレス法に基づくハイブリッド手法は有用であることを示した.これらの結果により直交格子作成にかかる時間を大幅に短縮できることが示唆される結果となった.また,ロケットエンジンやスクラムジェットエンジンの再生冷却において使用が検討されてい超臨界メタンの加熱流路における流動解析を行い,これらの計算が可能であることを示した.超臨界流体は数Kの温度差で密度が急激に変化することが知られており,様々な条件における熱流動を解明が期待される.さらに,これら計算手法とカップリングすることを目指し超臨界二酸化炭素のマルチフジックス現象の解明を行った.
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