本研究課題では,蝶を模した羽ばたき翼-胴体モデルに種々の要素を付与して洗練化し,それぞれの要素が飛行性能に与える影響を明らかにするとともに,各要素において最も飛行性能の優れた最適なパラメタを明らかにして実際の蝶と比較することを目的としている.また,その知見を用いて超小型飛翔体の開発を目指している. 平成30年度は,上記の目的のために,(1)推力を向上するための羽ばたき方の調査,(2)リード・ラグ角による姿勢制御の検討,(3)他の計算手法との比較による計算精度・効率の調査に取り組んだ.その成果として,(1)の研究については,羽ばたき中心角とリード・ラグ角を調整することで,推力を向上でき,実際の蝶の推進速度に達するほどの推力を発生できることを明らかにした.この結果は,平成30年度に国内学会で発表,国際学術雑誌に投稿予定である.(2)の研究については,翼に質量がない場合には可能であることが分かっていたが,翼に質量があって回転運動が激しい場合にはまだ分かっていなかった.これに対し,本研究により,翼に質量がある状態でも,リード・ラグ角をピッチング角に対してP制御することで,姿勢制御が可能であることを示した.この結果は国内学会で発表され,国際学術雑誌に投稿予定である.(3)の研究については,本研究グループで用いているIB-LBMという手法と,他の研究グループで開発された渦法という手法を比較することで,両者の利点・欠点を明らかにし,それぞれに適した用途について重要な示唆を得た.この結果は国内学会で発表され,国際学術雑誌に投稿予定である.
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