研究課題/領域番号 |
16K18021
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研究機関 | 一般財団法人電力中央研究所 |
研究代表者 |
若松 裕紀 一般財団法人電力中央研究所, エネルギー技術研究所, 主任研究員 (30589304)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 流体力学 / 数値計算 / 空力音 |
研究実績の概要 |
本研究では、空力音(空気の流れから発生する音)の数値計算を直接数値計算に移行させるための課題の克服を主目的としており、平成28年度は、空力音の直接数値計算を行う場合の計算負荷を小さくするための研究を行った。一般的に、空力音の直接数値計算はきわめて計算負荷が大きい。その主要な原因として陰的空間差分法および陰的ローパスフィルタを用いていることが挙げられる。平成28年度は、このうち、空間差分法の計算負荷低減のために、陰的空間差分法から陽的空間差分法に変更する方法が空力音の直接数値計算に与える影響について研究を行った。なお、本研究においては高波数成分のみを効果的に除去できる陰的ローパスフィルタを用いることによって、計算が不安定化するのを抑えるとともに空間差分の計算法ごとの結果の違いがをより明確に観察できるように注意した。 この結果、陰的空間差分法を16次精度以上の陽的空間差分に置き換えた場合では、陰的空間差分法とほぼ同じ計算結果となったことから、置き換えが可能であることを示した。また、高解像度最適化陽的スキームを用いれば、必ずしも精度の次数が高くなくても空力音を適切に計算することが可能であることを示した。一方で、Tamの考案したDRPスキームは、十分な解像度であるとはいえないことが知られていたが、実際の空力音の数値計算に適用した場合に不適切な計算結果になる場合があることを示した。本研究の重要性は、従来空力音の数値計算に多く用いられてきた陰的差分法は、それと同等以上の解像度を持つ陽的空間差分法に置き換えが可能であることを実際の空力音の数値計算結果により定量的に示したことにある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
一部、予想していない計算結果が得られ、その解釈に時間がかかったため
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今後の研究の推進方策 |
研究が遅れているので、平成28年度に行う予定であった研究のうち未着手の研究について平成29年度に行う。そのため、平成29年度は研究項目が多く順番に研究をおこなうとすれば時間がかかることが予想される。このことを避けるため、平成29年度、平成30年度の研究の順番にかかわらず、計画している研究を並列で進め、研究成果が出た研究から学術雑誌への発表を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果が順調に得られず英文学術雑誌への投稿を行うのに十分ではないと判断し、論文投稿をおこなう時期を平成29年度に延期した。そのため、平成28年度に支払いを予定していた学術雑誌への投稿費、英文校正費を次年度に使用することにしたため。 また、研究の打ち合わせのための旅費の使用を予定していたが、打ち合わせのスケジュールが合わず、実施できなかったため、打ち合わせを次年度に行うことにしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
投稿を延期した英文論文について、平成29年度に英文校正、論文投稿をおこなう予定であり、英文校正費、論文投稿費を使用する予定である。 研究打ち合わせを平成29年度に実施する予定であり、旅費を使用する予定である。
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