研究課題/領域番号 |
16K18025
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
福島 直哉 東京理科大学, 工学部機械工学科, 准教授 (80585240)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 乱流燃焼 / HCCIエンジン / 直接数値計算 / 自着火燃焼特性 / 火炎と壁面の干渉 |
研究実績の概要 |
高効率・低環境負荷燃焼法である圧縮自着火乱流燃焼が近年注目されている.研究代表者らはエンジン内を模擬した高圧条件下での二次元定容容器内自着火乱流燃焼の直接数値計算(DNS)を行い,希薄予混合気に比較的大きな温度変動を与えた場合,幾つかの自着火領域から火炎が伝播することを明らかにし,熱や化学種等の拡散という火炎伝播の本質を表す指標を用い,自着火,火炎伝播,火炎囲い込み形態に分類する手法を新たに提案した.さらに,定容容器内自着火乱流燃焼の直接数値計算を行い,燃焼器壁面近傍に希薄火炎が長時間滞留し,局所消炎による未燃物の排出や壁面熱損失などの燃焼器性能に大きな影響を与えることを明らかにした.本研究では,数値的手法を駆使し,GPUを搭載したグリッド型スーパーコンピュータに最適化した乱流燃焼のDNSを行い,圧縮・膨張過程を伴う自着火乱流燃焼特性及び壁面近傍に形成される希薄火炎と壁面の干渉機構を解明することを目的としている. 本研究課題では,数値的手法を用い,GPUクラウド(GPUを搭載したグリッド型スーパーコンピュータ)へ最適化された乱流燃焼の直接数値計算を行い,定容容器内及び圧縮・膨張過程を伴う乱流中での自着火乱流燃焼機構と壁面近傍に形成される希薄火炎と壁面の干渉機構を明らかにする.今年度は,境界条件や高精度フィルター等を理論的に境界適合座標系に一般化した計算スキームを導入し,GPUクラウドへ最適化された乱流燃焼の直接数値計算(DNS)コードを開発した.さらに,更なる高速度化を達成するため,局所最適化簡略化学反応機構を組み込んだDNSコードの開発に取り組んだ.開発したDNSコードを用いて,定容容器内乱流中の不均一予混合気の自着火乱流燃焼特性に加え,希薄火炎と壁面との干渉機構の解明に重点を置いて研究を進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は特に,計算機資源および研究費を有効に活用するため,次年度に予定していた局所最適化簡略化学反応機構の直接数値計算コードへの組み込みを前倒して行い,計算速度の高速化を進めた.その結果,次年度以降はより高速な直接数値計算を行うことが可能となり,当初の研究計画を十分に達成できると考えられるため.
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は,当初の研究計画にそって,研究を遂行する.表面反応機構を直接数値計算(DNS)コードに組み込むとともに,そのコードの最適化を行い,計算速度の高速化をさらに進める.また,今年度計算を行った,定容容器内乱流中の不均一予混合気の自着火における希薄火炎と壁面干渉機構に関するDNS結果の解析を進める.さらに,圧縮・膨張過程を伴う乱流中の圧縮自着火のDNSを行い,希薄火炎と壁面干渉機構を解明する.
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次年度使用額が生じた理由 |
申請額に比べ,決定額が削減されたので,今年度は乱流燃焼の直接数値計算(DNS)コードのGPUクラウドへの最適化及び高速度化に注力して,研究を進めた。さらに,次年度に予定していた局所最適化簡略化学反応機構のDNSコードへ組み込みを前倒しして進めた。これらにより,次年度以降はより高速度・高効率なDNSが可能となる。 このように,DNSコードの高速度化に注力したため,当初計画に比べて使用額が少なくなったため,次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
生じた次年度使用額は,今年度開発した高速度・高効率なDNSコードを利用することにより,HCCI乱流燃焼のDNSを様々な条件で計算するために使用する.
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