高効率・低環境負荷燃焼法である圧縮自着火乱流燃焼が近年注目されている.研究代表者らはエンジン内を模擬した高圧条件下での二次元定容容器内自着火乱流燃焼の直接数値計算(DNS)を行い,希薄予混合気に比較的大きな温度変動を与えた場合,幾つかの自着火領域から火炎が伝播することを明らかにし,熱や化学種等の拡散という火炎伝播の本質を表す指標を用い,自着火,火炎伝播,火炎囲い込み形態に分類する手法を新たに提案した.さらに,定容容器内自着火乱流燃焼の直接数値計算を行い,燃焼器壁面近傍に希薄火炎が長時間滞留し,局所消炎による未燃物の排出や壁面熱損失などの燃焼器性能に大きな影響を与えることを明らかにした.本研究では,数値的手法を駆使し,GPUを搭載したグリッド型スーパーコンピュータに最適化した乱流燃焼のDNSを行い,圧縮・膨張過程を伴う自着火乱流燃焼特性及び壁面近傍に形成される希薄火炎と壁面の干渉機構を解明することを目的としている. 本研究課題では,数値的手法を用い,GPUクラウド(GPUを搭載したグリッド型スーパーコンピュータ)へ最適化された乱流燃焼の直接数値計算を行い,定容容器内及び圧縮・膨張過程を伴う乱流中での自着火乱流燃焼機構と壁面近傍に形成される希薄火炎と壁面の干渉機構を明らかにする. 今年度は,昨年度までに開発した局所最適化簡略化学反応機構を組み込みんだ直接数値計算コードについて,更なる最適化及び高速化を達成した.また,圧縮・膨張過程を伴う二次元乱流中の圧縮自着火における希薄火炎と壁面干渉に関するDNS結果の解析を進めた.さらに,定容容器内及び圧縮・膨張過程を伴う乱流中の圧縮自着火のDNSを行い,希薄火炎と壁面干渉機構を解明するとともに,未燃物の排出や壁面熱損失などの燃焼器性能へ与える影響を明らかにした.
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