本研究では固体酸化物電解質膜内のプロトン伝導に対する量子効果の影響を遷移状態理論に基づいて解析した。まず伝導経路をNudged Elastic Band法により特定し、その経路上のプロトンの量子効果を経路積分法により再現した。次に各経路のポテンシャル障壁の高さよりプロトンの遷移率を見積もり、見積もった遷移率よりプロトンの拡散係数を算出した。その結果、量子効果を考慮した場合の拡散係数は古典の場合とほとんど同じになることが分かった。これは、各伝導経路における量子効果がそれぞれの影響を打ち消し合うことで結果的に古典の場合と同じになることを明らかにした。
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