研究課題/領域番号 |
16K18035
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
山口 祐 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 物理計測標準研究部門, 研究員 (80612176)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | レーザー誘起格子 / 燃焼 / 温度 |
研究実績の概要 |
本課題では、レーザー誘起格子分光(LIGS)法を用い、1000℃超の高温域での燃焼過程の高速かつ高精度な温度測定法を開発することを目的とする。平成28年度では、イソプロパン-プロパン燃焼ガス中のH2O分子・OHラジカルの吸収帯の調査および波長と光学幾何配置による格子生成条件の検証を実施した。さらに、当該波長に適合したパルスレーザーによるLIGS測定系の設計およびレーザー格子集光光学系のパルスエネルギーに関する基礎測定を行った。 具体的には、波長可変パルスレーザー(Ti:Sapphire, 100 mJ/5 ns)を用い、700-900 nmの範囲でレーザーを交差させるLIGS光学系を構築し、794 nm、810 nm付近の吸収帯で格子生成条件の検討を行った。その結果、ガスセル内の交差地点からプローブレーザー(670 nm)の回折が発生することを確認した。ただし、回折光強度は高速フォトディテクタで検出するには十分ではなく、高速オシロスコープによる減衰波形の観測には至らなかった。 今後は、ポンプ・プローブ光の共焦光学配置の最適化、回折光減衰関数の周期条件の同定、燃焼ガスの気体混合比の調整などにより、高温反応ガス中での安定したLIGS測定の実現を図る。その上で、ポンプレーザーのビーム形状・位置の評価など、誘起格子の安定化を進め、測定分解能向上に取り組むことで、燃焼ガスの高精度な温度測定および既存の測定法との比較を実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度では、イソプロパン-プロパン燃焼ガス中のH2O分子・OHラジカルの吸収帯の調査および波長と光学幾何配置による格子生成条件の検証を実施し、当該波長に適合したパルスレーザーによるLIGS測定系の設計およびレーザー格子集光光学系のパルスエネルギーに関する基礎測定を行った。794 nm、810 nm付近の吸収帯で光学系とのマッチングを検証した他、ガスセルを用いてプローブレーザー(670 nm)の回折光が発生することを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
ポンプ・プローブ光の共焦光学配置の最適化、回折光減衰関数の周期条件の同定、燃焼ガスの気体混合比の調整などにより、高温反応ガス中での安定したLIGS測定の実現を図る。その上で、ポンプレーザーのビーム形状・位置の評価など、誘起格子の安定化を進め、測定分解能向上に取り組む。 パルスレーザーに同期した減衰信号の高速検出測定を実現する。検出光学系の最適化や火炎発光による背景光による影響の低減によるS/N比向上、データ収録・解析ソフトウェアの製作を行う。回折光の減衰信号の周期・緩和時間が短い場合、格子間隔を複数設定し、その減衰周期の相関を取るなど、検出器の時間分解能の向上を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度ではLIGS光学系の構築のため、スペクトル観測用のCCDマルチチャンネル分光器および、近赤外域パルスレーザーの購入を計画していたが、別に所有していた波長可変レーザーを用いて誘起格子の生成の確認ができたことから、先行して検出系の準備を進めるために、平成29年度に計画していた高速オシロスコープの調達に使用した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額として請求した経費は、当初H28年度に予定していたLIGS光学系の誘起波長最適化のためのパルスレーザーの整備およびマルチチャンネル分光器、高速フォトディテクタ等の光学部品の準備に使用する。また、学会・論文発表における成果発信のために使用する。
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