本年度は,ホイールローダの移動経路長を最短にしつつ,全ての土砂を掬い取ることができるアルゴルズムを開発した.これまでは,トラックの積み荷を満杯にする回数分までの経路だけを最適にする方法を提案していた.これを拡張させ,与えられた全ての土砂の塊に対応させた.主なアルゴリズムの方針は次の通りである.まずは,トラックが満杯になるまでは本研究でこれまで提案してきた手法を用いる.これにより土砂の一部が掬い取られて,その部分だけ土砂がなくなる.次に,土砂の2次元形状の画像を,強化学習の入力として与える.この時,2次元形状は3DLider等のセンサで計測する必要がある.トラックが満杯になるまでの回数と最適な経路群と掬い取り点群を1セットと定義して,その1セットを土砂の2次元形状のエッジ部分のどこに選択すると経路が短くなるかを,強化学習を用いて学習させて,最適な解を出力させる. 上記のアルゴリズムを組み込んだシミュレータを開発し,幾つかの他の手法と合わせてシミュレーションを行った.土砂の変形モデルは,シミュレーションの時間を短縮するために,これまでの柱状要素法を用いた.その結果,今年度に提案する手法は,他の幾つかの手法に比べて,ホイールローダの総移動距離が短くなることが示された.また,土砂の形状を単純な円形や一つの塊だけでなく,複数の土砂の塊やこの字等にも対応できることを示した.さらに,実際の土砂の変化とシミュレーションでの予想は異なるが,その場合でも,実際の土砂の形状を測定して反映させることで,現実とシミュレーションの差分を吸収することができ,本手法を適用することで最適化できることを確認した.
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