研究課題/領域番号 |
16K18047
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
永野 光 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (70758127)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 触覚通信 / 振動触覚 |
研究実績の概要 |
ロボットの遠隔作業・操縦の支援を目的として触覚情報の伝送技術に関する研究が数多く報告されており,近年では高周波成分を含む振動情報を呈示する技術が注目されている.高周波振動情報を含む触覚情報の遠隔通信において,通信環境(遅延やパケット損失)による多様な触感への影響を定量化するとともに,触感を補償・向上するための信号処理特性(通過・除去周波数等)を特定することが重要な課題となる.本課題では,遅延や欠損の影響が大きい,非定周期かつ高周波成分を含む衝突振動を対象に,心理物理実験および多変量解析的手法を用いて,計測振動および遅延・欠損による劣化振動の関係を主観的な高次元空間上で定量化することを試みる.そして,複数の信号処理手法の影響を多次元空間内での座標変化から捕捉することで,触感の劣化補償・質的操作に効果を発揮する信号処理特性を探索する. 今年度は,高周波振動情報として,遅延や欠損の影響が大きく非定周期な衝突振動に着目し,3種の素材に対する衝突振動を計測するとともに,通信帯域の影響としてサンプリング周波数が異なる劣化振動3種を作成し,多次元触感空間上でその関係を調査した.刺激の同定課題より刺激間の知覚的距離を算出し,得られた知覚的距離に対し多次元尺度構成法を適用することで,多次元触感空間を構築した. また,主観的な評価を併せて行うことで,主観評価軸との幾何的関係から,触感空間における刺激の分布および変容の理解した.その結果,情報の劣化が主観評価に与える影響を明らかにし,通信環境と触感の多様な関係の一端を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
衝突振動の知覚においてはサンプリング周波数の影響が大きい.これは,サンプリング周波数の違いによって内部周波数だけでなく減衰率が大きく変化してしまうためだと思われるが,衝突振動知覚において,減衰率や内部周波数の知覚への影響は十分に調査されていない.そこで,より詳細な調査を実現するため,高周波な振動を安定して呈示可能な実験装置が必要となる.
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今後の研究の推進方策 |
高周波な振動情報において,減衰率や周波数の知覚への影響をより詳細に調査するため,現在,高周波な振動を安定して呈示可能な実験環境を構築している. 今後は,開発した装置を用いて心理物理実験を行うことで,より詳細な知覚空間を構築し,その知覚空間上で,振動情報と知覚の関係を分析することで,触覚情報の通信に必要となる環境条件を調査する.
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次年度使用額が生じた理由 |
衝突振動において,サンプリング周波数の違いによって内部周波数だけでなく減衰率が大きく変化し,その結果,知覚も大きく影響受けることが考えられるが,その関係は十分に調査されていない.そこで,より詳細な調査を実現するため,高精細かつ高周波な振動情報を呈示可能な実験環境の構築が先決となったため,周波数特性分析器の購入を先送りとした.
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次年度使用額の使用計画 |
高周波な振動を安定して呈示可能な実験環境を構築している.今後は,高周波振動を安定して生成可能なピエゾ素子を用いた振動アクチュエータおよび専用のチャージアンプを購入する.そして,開発した装置を用いて心理物理実験を行う.心理物理実験の実施にあたっては,公募による大規模な実験を実施予定であり,その際には謝金を支払うことを想定している.
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