研究課題/領域番号 |
16K18048
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
山崎 彬人 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任助教 (70725944)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 運転支援 / 予防安全 / ドライバ状態 / 画像処理 |
研究実績の概要 |
本研究では,自動車運転時にドライバが認知すべき交通環境を正しく認知しているかを画像から推定し,自律運転知能による運転支援機能を作動させるか否かを判断するシステムを開発することを目的としている. 平成28年度は以下のことを行った. まず,ドライバの顔画像と自車の前方映像を取得するためのカメラを実験車にそれぞれ設置し,ドライバの顔画像と前方映像の取得を可能とした.また,車両信号はCAN から車速とブレーキの情報を,GNSS により緯度・経度情報をそれぞれ取得する装置を設置し,ドライバの映像と車両情報を同期して走行データの収集を行った.次に,取得したドライバ画像に対して,開発したフェイストラッキングアルゴリズムを適用することでドライバの顔向きを推定した.得られた顔向き角度をドライバの視線方向と仮定し,ヨー角に対してしきい値を設定し,視線方向を正面・左・右の3 方向への分類を行った.自動車運転時は顔向きによらない,視線移動のみで確認行動を行うことも多いが,走行環境によってドライバは一定の回数・頻度で顔向きの変化を伴う確認行動をとるという知見をもとに,顔向き角度を視線方向と仮定し推定した顔向き角度からドライバが車両前方のどの方向を見ているかの視線方向推定を行った. また,ドライバカメラと前方カメラが互いに固定されていることを利用し,分類した視線方向をもとに,正面・左・右の視線方向をそれぞれ2:1:1 の割合で前方画像に対応付けを行うことでドライバが前方画像中のどの方向を確認しているかの注視領域の抽出を行うシステムの試作を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は実験車にカメラを設置し走行データを収集し,ドライバがどの方向を確認しているかの注視領域を抽出するシステムを開発し,学会等で成果発表を行うことができた. 当初計画で予定していた,車両前方の交通環境認識システムの開発は未実施であるが,これはシステムの試作を優先し29年度に予定していたドライバの注視方向推定アルゴリズムの開発を先行実施したためである.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度では,引き続き自動車運転時にドライバが認知すべき交通環境を正しく認知しているか推定するシステムを開発を目指し,以下の研究を行う. ・運転時に認知すべき交通環境情報の取得と分類 当初計画では28年度に実施予定であったが,29年度に実施予定であったドライバの注視方向推定の開発を先行実施したため,29年度は画像から交通環境認識を行うアルゴリズムの開発・実装を行う.また,得られた交通環境情報を交差点右折時や左折時など,状況に応じて認知すべき対象物の危険度の定義および分類を行う. ・ドライバの視認対象物の可視化と自律運転知能の判断支援システムの設計 28年度に開発したドライバの注視領域抽出システムと今年度開発する交通環境認識アルゴリズムから取得した情報から,ドライバが何を視認しており何を視認していないかを可視化するシステムの開発を行う.また,それをもとに自律運転知能の判断支援システムの設計要件とその方策をまとめる予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画ではプログラム開発のためのMATLABを購入予定であったが,C言語による開発を行ったため購入を見送った.また複数台のカメラや実験用モバイルワークステーションを購入する予定であったが,使用するカメラの選定を行うためにまずは1台のみの購入としたこと,走行データの収集のみでは所有するPCで対応可能であったため購入を見送った. また,今年度国際学会に調査を目的として参加する予定であったが,日程上の都合により参加を取りやめた.
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次年度使用額の使用計画 |
今年度行うシステム開発においては,MATLABによるシミュレーションプログラムを作成する必要があるためMATLABを購入する予定である.他に選定したカメラを追加購入しシステム開発を行う.また,開発したシステムの実験を行うためのモバイルワークステーションを購入する予定である. さらに,学会参加による調査・研究旅費や論文投稿料として使用する予定である.
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