研究課題/領域番号 |
16K18049
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
齊藤 裕一 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任助教 (90770470)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 予防安全 / 潜在リスク予測 / 人間機械システム / 状況適応的支援 / シェアードコントロール |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,自動車運転時における潜在リスク予測フェーズを「限りある人の能力を補完する運転支援構造」に導入し,潜在リスク予測に基づいて「人と機械が制御権限を共有しながら安全制御を効果的に継続できるシェアードコントロール」を開発することにある.具体的には,平成28年度の目標は,1)潜在リスクシナリオの解析,2)潜在リスク予測技術の開発,3)潜在リスク予測に基づく状況適応的機能配分支援の設計を通じて,平穏時と緊急時の間にリスク予測フェーズを導入し,また運転のタスク・権限の共有設計指針の基盤を構築することにある.これらの当初目標に対して,平成28年度は,1)農工大が保有する事故・ヒヤリハットデータの分析に基づき,潜在リスク予測フェーズを導入するユースケースの抽出(具体的には,死亡事故率の高い市街路・人対車両(高レベルヒヤリハット689 件))と,ヒヤリハット・事故再現モデルを構築し,2)運転環境文脈の理解とワーストケースシナリオの設定に基づく規範速度算出ロジックを構築し,緊急時において既存の衝突回避ブレーキが有効的に作動しうる速度域に事前に減速させる予見的制動制御ロジックを開発した.また3)触覚的フォースフィードバックを与えることが可能なアクティブペダルを用いて,潜在リスクの状況に応じて人と機械の役割分担を動的に共有するシェアードコントロール機構を構築した.最後に,ユースケースシナリオをドライビングシミュレータ環境に構築し,また潜在リスク予測に基づいた適応的機能配分支援(介入型シェアードコントロール)をシミュレータに構築し,若年者・高齢者を対象にしたドライバ受容性評価・安全性評価を実施し,提案した「かもしれないブレーキ制御」が規範速度に誘導することに対して効果的であることを明らかにしたとともに,介入型から連続型へ機能向上を図る必要があることを検証した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の目標は,1)潜在リスクシナリオの解析,2)潜在リスク予測技術の開発,3)潜在リスク予測に基づく状況適応的機能配分支援の設計を通じて,平穏時と緊急時の間にリスク予測フェーズを導入する.また運転のタスク・権限の共有設計指針の基盤を構築することである.これらの当初目標に対して,昨年度は,1)潜在リスク予測フェーズを導入するユースケースの抽出と,ヒヤリハット再現モデルを構築し,2)運転環境文脈の理解とワーストケースシナリオの設定に基づく規範速度算出ロジックを構築し,また3)アクティブ反力ペダルを用いたシェアードコントロール機構を構築するとともに,潜在リスク予測に基づいた適応的機能配分支援の有効性評価を実施した. これらの成果は,雑誌論文 1 報,国際会議論文 2 報として採択されており,当初計画に沿って,遅れなく順調に進展していると判断する.これらは,農工大スマートモビリティ研究拠点が保有する大規模ヒヤリハットデータベース,ならびに実験車両を用いた公道走行実験データを有効的に活用できたことが,本研究の進捗に大きく寄与している.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は,運転支援構造に潜在リスク予測フェーズを導入し,それに基づく早期介入型の適応的機能配分支援を開発したが,今後の推進方策は,1)平穏時・潜在リスク予測時・緊急時など,時間軸上で円滑に支援を移行・継続できる連続型のシェアードコントロール機構(触覚的誘導支援)を開発すること,2)常に人を制御ループ内に留める触覚的誘導支援のドライバーシステムレベルでの有効性評価をドライビングシミュレータ・実験車両レベルで実施することである.具体的には,a)潜在リスク予測に基づくシェアードコントロールの設計指針を確立することと,b)権限共有の中での機械の介入度合いの調停法と,人の操作意図を汲むオーバーライド可能性を創り出すインタフェースを設計し,本研究課題の当初目標を完遂する.
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次年度使用額が生じた理由 |
実験参加者(主に高齢者)の謝金費用として計上していた費用は,他のプロジェクトとの共同でのシミュレータ実験として効果的に実施することができたことから,謝金費用分を使用せずに本研究を実施することが可能であったためである.
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次年度使用額の使用計画 |
潜在リスク予測に基づくシェアードコントロールの有効性を検証する際に,本学でのドライビングシミュレータ実験を行うための費用が必要となる.実験協力者への謝金を計上する.次年度は,構築する潜在リスクマネジメントの基盤技術を実験車両に実装する.そのため,実装に必要となる機械部品・電子部品を購入する費用を計上する. 成果発表のため,IEEE International Conference on Systems, Man, and Cybernetics (カナダ), FAST-zero 17 (奈良),自動車技術会学術講演会(大阪)等に,参加する予定である.そのための費用を計上する.また,これらの成果を国際ジャーナルへ投稿する.そのための,英文校閲費,投稿費を計上する.
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