研究課題
本年度は,システム統合・ファントムおよび動物実験の施行をテーマに,前年度に構築した設計論を用いて,最適化をおこなった操舵可能な針と操舵可能なマイクロカテーテルを試作した.また,リアルタイムMRIシーケンスをベースにした針の刺入経路のリアルタイム可視化ソフトウェアを構築した.試作した針およびマイクロカテーテルについては,ファントム実験をおこなった.試作した針については,豚を用いた動物実験をおこなった.屈曲機構とそのアプリケーションについては研究を進め,その有用性を示すことができた.また,リアルタイムMRIシステムをベースとした針画像トラッキング用のナビゲーションソフトの構築をおこない,安定してリアルタイムMRI画像を取得できることを確認した.今年度は成果発表として,論文1件,国際学会発表4件,国内学会発表4件をおこなった.提案した操舵可能な針は,腹部への穿刺における経路設計を拡張する.具体的には,提案した操舵可能な針を用いると,穿刺途中に針を内側から曲げることができるため,従来では直線のみであった穿刺経路に対し,曲がった経路の設計を許容することが可能になる.そのため,腹部では肋骨の間から穿刺するためにターゲットへの穿刺経路に制限があったが,曲がった経路が許容されることで,繊細な組織や血管を避け,ターゲットへ到達することが可能になる.これにより,穿刺が困難だった患者に対して,生検や針治療の可能性を広げることができる.先端が屈曲するマイクロカテーテルは,血管分枝の選択性を高めることができる.血管は一般に,抹消に向かうに従ってその分枝角度が急峻になっていくため,それら血管分枝を適応的に選択するには,先端が自在に屈曲できることが望ましい.本提案手法は,その解決策になると期待できる.
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 4件)
IEEE Robotics and Automation Letters
巻: 3 (2) ページ: 648-655
10.1109/LRA.2017.2779273