本研究の目的は5mm角程度の小型な電磁誘導式発電機の開発にある。 平成30年度の到達目標は前年度に明らかになった設計等の問題点を改善することおよび組み合わせた発電機の研究成果のまとめである。改善においてはタービン機構のロータについて主に行った。前年度までの研究ではタービンロータを平面型からリム型とし、さらに軸受け機構に小型ボールベアリングを導入することで29万回転の高回転を実現した。しかし、リム型としたことで羽の先端が細くなることから破損につながり回転数の低下も確認された。また、作動流体を流入することで回転を得るが、回転直後の空気だまりが回転低下や破損の原因となると考えられた。改善方法としてロータ形状と排気口について有限要素法により解析を行い新たな設計を行った。これにより破損しにくくなりタービン機構の長寿命化を図った。磁気回路については磁石の着磁方向に合わせた形状での開発を行っていたが、小型でより高出力が望める三相交流型が望ましいといえる。 また、開発を行った小型電磁誘導式発電機はIoT機器などに代表される小型機器への電源供給として期待できる。このことから実用化を念頭に作動流体の選定を行うこととした。作動流体の供給とエネルギーの効率的利用を行うことからランキンサイクルに組み込むことを想定した。ランキンサイクル発電を用いることにより廃熱を利用した小型発電機を開発することが可能となる。特に本研究では100℃以下の低温熱源で利用可能とするため低沸点媒体を作動流体として回転実験まで行い、約15万回転を得ることができた。 以上の成果をまとめた結果を国際学会および著書にまとめ成果報告とした。また、シリコン微細加工技術であるMEMS工程と小型受動素子作製技術である積層セラミック技術を組み合わせることの有用性について具体的な活用方法を含めて示すことができた。
|