本研究の目的は,立ち乗り型パーソナルモビリティ(以後 立ち乗り型PM)と呼ばれる乗り物における操縦者の評価手法の開発を目的とする.立ち乗り型PMは多少の制約は残るものの全国展開が決定し,今後の利用拡大が期待されている.小型特殊や原付にカテゴライズされているものの,免許制度がある2輪車・自動車等と比較すると客観的な操縦評価を持たない立ち乗り型PMにおいては,誰もが安全に利用を開始するべきかどうかの判断基準が明確ではない.そこで本研究では,免許制度に似た操縦許可の判定を可能とするための立ち乗り型PMの操縦評価ツールの開発を目的とする. 本研究は,2年の研究期間で行い,1年目において,実験のための車両改造や予備実験までを行い,2年目に向け多人数の被験者実験に向けた準備を行うことができた.2年目においては,予備実験のデータの分析及び多人数の被験者実験を行うとともに,評価手法の提案を行った.具体的には,予備実験データ解析では,特に初心者と熟練者の違いにおいて,スラロームのコース及び段差乗り降りにおいて,特に顕著な差を確認できた.加えて,多人数の実験では,初心者及び熟練者の合計28人の被験者にスラローム,段差乗り降り,スロープにおける移動,急制動を2種類の立ち乗り型PM(小型と大型)を用いて実験を行った.小型タイプにおいては,初心者の被験者においても比較的容易に操作に慣れてしまうため,統計的な優位となる差が見られなかった.一方,大型の立ち乗り型PMにおいては,初心者と熟練者において,特にスラロームと段差において5%優位な統計的な差を発見することができた.例えば,スラロームについては,熟練者の操作性が大きく上回ることから,完了までの時間を計測することで,熟練者への評価指標とできることが得られた.加えて,段差の振動の振幅も同様に評価ツールとして利用できることが得られた.
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