研究課題/領域番号 |
16K18058
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
卜 穎剛 信州大学, 学術研究院工学系, 助教 (70647940)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 電子棚札 / ワイヤレス給電 / トランス / 低周波ワイヤレス電力伝送 |
研究実績の概要 |
小売店舗で商品の価格情報を表示する電子棚札(Electronic Shelf Label,ESL)など複数小電力デバイスを電池レスにするために,数十kHzの高周波磁気共振ワイヤレス電力伝送方式が提案されている。しかし,高周波電磁界の漏れ問題やコストの面で実用に至っていない。研究代表者は実現困難と思われる低周波の50/60Hz電磁誘導式ワイヤレス給電技術を用いた複数小電力デバイスの給電に適したユニークな給電装置を提案した。これにより高周波電磁漏れ問題がなくなり,ローコストで実用化が可能となる。より大電力と安定した電力供給が実現可能な電子棚札システム用ワイヤレス給電技術の開発及び実用化することを目的とした。 H28年度では,提案構造を用いた大きい受電電力のワイヤレス給電装置の製作であり,各受電コイルの出力電力が300mW以上の目標にして,原理機の設計および試作評価を行った。国内小売店で使用する900㎜幅の商品棚の適用に想定して,試作機は長さ850㎜,幅60㎜の外寸とした。磁性レールは低損失の0.2㎜電磁鋼板を用いた。送電コイルは両端および中央の3つを設置して,受電コイルは4つを設置した。二次検証実験では,受電コイルにコンデンサで共振させて,受電電力は最大350mWになり,カラー液晶ESL駆動の目標に満足した。提案構造の有効性を実証した。しかし,受電電力は受電コイルの数量や位置によって大きく変動する問題がある。これに対して,受電電力平均化手法を提案して,今後,提案法の更なる検証を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H28年度計画では,提案構造に基づいた大きい受電電力のワイヤレス給電装置を製作し,各受電コイルの出力電力が300mWの目標にした。原理機の設計および試作評価を行った。二次検証実験では,受電コイルにコンデンサで共振させて,受電電力は最大350mWになり,カラー液晶ESL駆動の受電電力の目標に満足した。そのためおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
提案したESL用ワイヤレス給電構造では,低周波でESLに給電することを確認された。しかし,この提案構造の欠点は受電電力の不均一性である。送電コイル近方の受電コイルは大きな受電電力が得られる。遠方の受電コイルは磁束が流れにくく,受電電力が大幅に低下する。この問題に対して,今後,送電コイル近傍の受電コイルの出力端を一定時間でショートさせることにより,遠方の低出力受電コイルの鎖交磁束を向上せて,受電コイルの受電電力を平均化する方法を提案して,受電の安定性技術を開発する。また,実験的にも本提案法の有効性を確認する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画で見込んだよりも安価に研究が進んだため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は平成29年度請求額と合わせて消耗品費として使用する予定である。
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